こんにちは。徳久です。
足首を捻挫した後、
「足首がグラグラする」「しっかり踏ん張れない」「運動時や歩行時の痛みがしばらく続く」
そんな経験はありませんか?
足首の捻挫というと、靭帯を痛めたというイメージが強いかと思います。
しかし、足首の捻挫後に残る不安定感を考えるときに、もう一つ大切な視点があります。
それはAMI(関節原性筋抑制)です。
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AMI(関節原性筋抑制)とは?
AMIは、Arthrogenic Muscle Inhibition (関節原性筋抑制)の略です。
簡単にいうと、関節の痛みや腫れなどが原因で、筋肉自体の異常ではなく神経の反射によって周囲の筋肉に力が入りにくくなる現象のことです。
簡単な「筋力低下」とは少し違い、AMIは筋肉そのものが壊れて起こるのではなく、関節の周囲から脳・脊髄へ伝わる感覚情報などが変化することで、筋肉の運動単位を十分に動員しにくくなる現象と言われています。
つまり、「筋肉が弱い」というより、「筋肉を上手く働かせにくい」という状態が起こることがあるということです。
捻挫すると筋肉が働きにくくなる理由
足首を捻挫すると、関節や靭帯、その周囲の組織にダメージが加わります。
その後、普段は足首の状態を脳や脊髄へ伝えている「感覚情報」に変化が起こります。
この変化した情報が脊髄などの神経系に影響し、筋肉を十分に収縮させにくくする仕組みがAMIに関係すると言われています。
捻挫
↓
関節周囲の状態の悪化
↓
神経に伝わる情報の変化
↓
筋肉が十分に働きにくくなる
↓
足首を安定させる力や反応が低下
という流れです。
もちろん、全ての捻挫がそのままAMIや慢性的な不安定性に繋がるという意味ではありませんが、捻挫後に「筋肉がうまく働いていない」という視点を持つことは、足首のリハビリを考えるうえで重要です。
足首では「長腓骨筋」と「ヒラメ筋」に注目
今回の論文では、足関節の不安定性に関連するAMIの影響を受けやすい筋肉として、長腓骨筋とヒラメ筋が挙げられています。
これらの筋肉は、歩く、走る、着地などの動作で、足首を安定させるために重要な働きをしています。
そのため、筋肉が十分に働きにくい状態が続くと、「筋力が落ちている」だけでなく、「足首を安定させるために、必要なタイミングで筋肉が使えていない」という問題に繋がる可能性があります。
筋トレをすれば、それだけで大丈夫?
足首のリハビリではもちろん筋力トレーニングは大切です。
しかし論文では、AMIが残っている場合、単純な筋力トレーニングだけでは、十分に神経・筋のコントロールを取り戻せない可能性が指摘されています。
つまり、「筋肉を鍛える」だけでなく、「筋肉をきちんと働かせる」ことも大切です。
例えば、
・片足でバランスをとる
・足首の位置を感じながら動く
・不安定な状態で姿勢を保つ
・足首がグラッとした時に素早く反応する
といった練習も、足首の機能を取り戻すうえで重要になります。
「筋力」だけでなく「反応の速さ」も大切
足首は、いつもゆっくり動いているわけではありません。
歩いている時に足元が少し崩れたり、スポーツで着地したり、急に方向を変えたりする時には筋肉が素早く反応するという能力が必要になります。
BOSUを使ったトレーニングと全身振動刺激を組み合わせた研究では、長腓骨筋・短腓骨筋・前脛骨筋の反応時間が改善されました。
ただし、反応時間が改善しても、筋力そのものが変化したわけではありませんでした。
これは、「筋力があるか」だけでなく、「素早く反応できるか」も足首の機能には重要ということを考えるきっかけになります。
AMIとCAIは何が違う?
以前ブログで紹介したCAIとの違いを整理します。
CAIは、「足首が慢性的に不安定になっている状態」
一方、
AMIは「関節の問題をきっかけに、筋肉が十分に働きにくくなる仕組み」
を言います。
つまり、
CAI=足首の状態
AMI=筋肉が働きにくくなる仕組み
です。
AMIのアプローチ
AMIに対して、一つの方法ではなく、
手技療法
筋力トレーニング
感覚・バランストレーニング
神経筋トレーニング
など、複数の方法からアプローチすることが重要だとされています。
論文では、手技療法と運動療法を組み合わせた研究では、運動だけを行った場合と比べて、痛みや筋力、関節の動きなどに良好な変化が見られました。
「痛みが無くなった」=「完全に治った」とは限らない
痛みが無くなったから治ったと思いやすいですが、今回の論文が注目しているのは、痛みだけではありません。
筋肉の活動、バランス、神経・筋の反応、主観的な足首の安定感など、様々な機能について検討されています。
そのため
「痛みは無いけど足首がグラグラする」
「スポーツになると怖い」
「片足立ちが苦手」
「足首を捻りそうになる」
という場合には、「痛みがあるか」だけでなく、「足首をしっかりコントロール出来ているか」という視点も大切になります。
まとめ
今回紹介したAMI(関節原性筋抑制)は、関節の怪我や炎症などをきっかけに、周囲の筋肉が十分に働きにくくなる神経生理学的な現象です。
足首では特に、長腓骨筋やヒラメ筋などの働きが注目されています。
そして足首のリハビリでは、筋力をつけることだけでなく、
筋肉を正しく使うこと
バランスを取ること
素早く反応すること
まで考えることが重要です。
足首を捻挫した後、「痛みは治ったけど、何となく足首が不安定」という方は、靭帯だけでなく足首を支える筋肉が十分に働いていない可能性があります。
気になる方は一度当院にご相談ください。
《参考文献》