谷田貝です。
股関節の安定性を支える「深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)」の中でも、
今回は外閉鎖筋(がいへいさきん)に焦点を当てて解説します。
日常生活やスポーツ動作で股関節の「ぐらつき」や「深い痛み」を感じる方は、
この筋肉の働きを理解することが症状改善の第一歩になります。
深層外旋六筋とは?
深層外旋六筋とは、股関節の奥深くで大腿骨を外旋(外にひねる)働きをもつ6つの筋肉の総称です。
これらの筋肉は骨盤の後方に位置し、股関節を安定させる「天然のコルセット」のような役割を果たしています。
筋名 | 起始 | 停止 | 主な作用 |
---|---|---|---|
① 梨状筋(Piriformis) | 仙骨前面 | 大腿骨大転子上縁 | 股関節外旋、外転(屈曲位) |
② 上双子筋(Superior gemellus) | 坐骨棘 | 大腿骨大転子内側面(転子窩) | 股関節外旋 |
③ 内閉鎖筋(Obturator internus) | 閉鎖膜内面 | 大腿骨大転子内側面(転子窩) | 股関節外旋 |
④ 下双子筋(Inferior gemellus) | 坐骨結節 | 大腿骨大転子内側面(転子窩) | 股関節外旋 |
⑤ 外閉鎖筋(Obturator externus) | 閉鎖膜外面 | 大腿骨転子窩 | 股関節外旋 |
⑥ 大腿方形筋(Quadratus femoris) | 坐骨結節外側縁 | 大腿骨転子間稜 | 股関節外旋・内転 |
外閉鎖筋の働きと特徴
外閉鎖筋は、股関節の前側(坐骨の前面)から始まり、大腿骨の後方を包み込むように走行する特殊な構造を持っています。
この走行により、単なる「外旋筋」としてだけでなく股関節の安定化筋としての役割が非常に重要です。
具体的には、立位や歩行時に骨盤と大腿骨の位置関係を微調整し、股関節のはまり(求心性)を保ちます。
もし外閉鎖筋が弱くなると、股関節のはまりが浅くなり、次のような症状が現れることがあります。
- 歩行中のぐらつき感や不安定感
- 長時間立っていると股関節が重く感じる
- 股関節をひねる動作で違和感や鈍痛が出る
このような症状は、放置すると他の筋肉(中臀筋や腸腰筋など)に過剰な負担がかかり、慢性的な股関節痛へ発展することもあります。
外閉鎖筋の肉離れとは?
スポーツシーンでは、外閉鎖筋の肉離れが起こるケースも少なくありません。
特にサッカー・ラグビーなど、片脚でのキック動作や方向転換が多い競技で発生しやすいです。
外閉鎖筋肉離れが起きやすいシーン
- ロングキックや無理な体勢でのシュート
- 体勢を崩したまま踏ん張ったとき
- 片脚スクワットやランジ中の股関節痛
違和感や痛みがある場合は、自己判断せずに整形外科や整骨院での評価を受けましょう。
エコー検査やMRI検査によって、筋損傷の有無を正確に判定できます。
まとめ:股関節の安定は「外閉鎖筋」が鍵
外閉鎖筋は、深層外旋六筋の中でも股関節の安定性を支える重要な筋肉です。
スポーツ動作だけでなく、歩行や立ち上がりといった日常動作にも深く関わっています。
股関節の違和感・不安定感・深い痛みを感じる方は、外閉鎖筋の機能低下が関係している可能性があります。
放置せず、早めに専門家のチェックを受けることをおすすめします。