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【症例紹介】肩の痛みが肩甲下筋への鍼で改善|インピンジメント症候群の一例

谷田貝です。

はじめに

今回は、肩の骨折後に生じた痛みが肩甲下筋への鍼治療によって改善した症例をご紹介します。

「腕を回すと痛い」「服を着るときに肩が痛む」といった症状でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

主訴

  • 骨折治癒後から肩を大きく回すと痛みが出現
  • 動作時に「コリッ」とした引っかかるような感覚あり
  • 更衣動作(服を着る際)で肩前後に痛み

動作・評価所見

可動域・運動パターン

  • 上肢挙上時の痛みなし
  • 挙上早期から肩甲骨の上方回旋が出現(代償動作)
  • 水平伸展、2nd外旋で疼痛と可動域制限

筋力評価

  • 外転、2nd内旋、2nd外旋で筋力低下(健側比)

整形外科的テスト

  • Lift-off test:陽性(肩甲下筋機能低下)
  • Empty can test:陽性(棘上筋・インピンジメント評価)

評価

これらの所見から、

回旋筋腱板のフォースカップル破綻によるインピンジメント症候群と判断しました。

※インピンジメント症候群については以下をご参照ください。

 

【肩の痛みの原因】インピンジメント症候群とは?原因と鍼灸でのアプローチ

中高生スポーツ選手に多い肩の痛み「インピンジメント症候群」とは?原因と対処法を解説

フォースカップルとは

フォースカップルとは、

複数の筋が拮抗しながら協調して関節を安定させる機構です。

肩関節では、回旋筋腱板が働くことで上腕骨頭を関節窩中央に保持し、運動時のズレを防ぎます。

肩 フォースカップル

鍼治療のポイント

本症例では「肩関節のズレ」に着目し、回旋筋腱板をターゲットに治療を行いました。

対象筋

  • 棘上筋
  • 棘下筋
  • 小円筋
  • 肩甲下筋

特に肩甲下筋は、

  • 肩甲骨前面(肋骨側)に付着
  • 体表からアプローチが困難
  • 胸膜が近接し気胸リスクあり

といった理由から、高度な解剖知識と技術が必要です。

実際の施術

  • 体位:側臥位
  • ポジション:3rd内旋位
  • アプローチ:肩後方からエコーガイド下で刺鍼
  • 鍼通電(パルス)を併用

経過・効果

1回目

棘上筋+小円筋へ刺鍼
→ 痛み軽減するも違和感残存

2回目

小円筋+肩甲下筋へ刺鍼
→ 痛み・クリック感ともに消失

現在

  • 可動域改善目的の継続治療
  • 自宅エクササイズ指導(肩安定性向上)
  • 経過観察中

考察

骨折後の固定期間が長くなると、廃用性萎縮(disuse atrophy)により筋機能が低下します。

特に回旋筋腱板は影響を受けやすく、

  • 筋力低下
  • 協調性低下
  • 関節安定性の低下

を引き起こします。

その結果、他の筋による代償が起こり、最終的にオーバーユース → 痛みへとつながります。

本症例のポイント

小円筋・肩甲下筋の機能低下
→ 上腕骨頭の前後偏位
→ インピンジメント発生

まとめ

  • 肩の痛みは「筋のバランス(フォースカップル)」の破綻が原因となることがある
  • 肩甲下筋は見逃されやすいが重要な筋
  • 適切な評価とアプローチで症状改善が可能

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