しんもり整骨院、鍼灸師の鈴木です。
当院には、股関節の痛みを訴える40代から50代の女性の患者様が多く来院されます。
はじめに:その痛み、ただの「筋肉痛」だと思っていませんか?
- 「最近、長く歩くと足の付け根(股関節)が痛む」
- 「靴下を履くときや、爪切りの姿勢が辛くなってきた」
- 「立ち上がるときに、股関節に違和感がある」
- 「しゃがみこめない」
40代から50代の女性で、このようなお悩みをお持ちの方は要注意です。 「久しぶりに運動したからかな?」「年齢のせいかな?」と湿布を貼って様子を見ているうちに、実は股関節の中で「悪い連鎖」が起きている可能性があります。
今回は、女性に多い股関節トラブルの正体と、「将来、手術が必要な状態(変形性股関節症)まで進行させない」ための重要なポイントをお話しします。
1. 知っておきたい「3つの病態」の関係性
股関節のトラブルは、突然悪くなるわけではありません。
多くの場合、段階を経て進行します。以下の3つのキーワードを知っておいてください。
① 寛骨臼形成不全(かんこつきゅうけいせいふぜん)

日本人の女性に非常に多い特徴です。生まれつき、または発育過程で、骨盤側の「屋根(受け皿)」が浅い状態を指します。 屋根が浅いため、体重を支える面積が狭く、関節の一部分に負担が集中しやすくなります。
② 股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)

屋根が浅い(①)と、関節が不安定になります。それを補おうと、軟骨組織である「股関節唇」に過度な負担がかかり、傷ついたり切れたりしてしまう状態です。 「股関節が引っかかる感じ」「鋭い痛み」が出ることがあります。
③ 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)

①や②の状態を放置して無理を続けると、クッションである軟骨がすり減り、骨そのものが変形してしまいます。こうなると、安静にしていても痛みが出たり、歩行が困難になり、最終的には人工関節の手術が必要になることもあります。
【当院が一番伝えたいこと】 私たちが目指すのは、「①や②の段階で適切な治療・ケアを行い、③の変形性股関節症への進行を食い止めること」です。
2. あなたは大丈夫?簡単セルフチェック
ご自宅でできる簡単なチェック方法(パトリックテスト)をご紹介します。

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仰向けに寝ます。
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片方の足首を、もう片方の膝の上に乗せます(数字の「4」の字を作るように)。
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乗せた足の膝を、ゆっくり床の方へ開いて(倒して)いきます。
【チェックポイント】
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倒した方の股関節(足の付け根)に痛みはありませんか?
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左右で開き具合に大きな差(硬さ)はありませんか?
もし痛みが出たり、極端に硬い場合は、股関節に炎症やトラブルが起きているサインかもしれません。
3. 当院での検査と治療について
「もしかして…」と思ったら、早めにご相談ください。当院では、以下のような流れで対応いたします。
【検査】エコー観察と専門医への紹介
当院の特徴は「超音波エコー」を用いて、股関節の状態をリアルタイムで観察できることです。 レントゲンには写らない「筋肉の炎症」や「水が溜まっている様子」を確認します。
また、もしエコー観察で「骨の変形」や「股関節唇の損傷」が疑われる場合は、提携している信頼できる「股関節専門医」のいる病院へ紹介状を書かせていただきます。 整骨院で抱え込まず、MRIやレントゲンによる確定診断を受けていただくことが、患者様の将来を守るために不可欠だと考えているからです。
【治療】なぜ「鍼治療」が有効なのか?
検査の結果、手術の適応ではなく、保存療法(手術以外の治療)でいけると判断された場合、当院の「鍼治療」が大きな力を発揮します。これには2つの大きな理由があります。
① 硬まった筋肉を「緩める」 股関節が不安定な方は、関節を守ろうとして周りの筋肉(中殿筋や腸腰筋など)がガチガチに固まり、それが痛みの原因になっていることが多くあります。 手技では届かない深層の筋肉に対して鍼を行い、血流を改善し、緊張を解くことで、痛みを緩和させます。
② 働かない筋肉を「目覚めさせる」(AMIの改善) もう一つ、鍼治療には重要な役割があります。それは「脳による筋肉のブレーキ(AMI)」を解除することです。
股関節に痛みや炎症があると、脳は関節を守ろうとして、反射的に周囲の筋肉に「動くな」という命令を出してしまいます。これを専門用語でAMI(関節原性筋抑制)と呼びます。 この状態は、「自分では力を入れているつもりでも、筋肉が正常に働いてくれない」ことです。
AMIが起きている状態で無理に筋トレやウォーキングをしても、肝心な筋肉(関節を支えるインナーマッスル)がサボってしまっているため、効果が出ないばかりか、関節への負担を強めてしまいます。 鍼治療には、電気信号によって神経に働きかけ、この「オフになってしまった筋肉のスイッチ」を「オン」にする効果が期待できます。
③ 進行を食い止める好循環へ 痛みが取れ、筋肉が正しく動く準備が整って初めて、正しいリハビリ(運動療法)ができるようになります。 この「痛みと抑制(AMI)を取り除く → 筋肉を正しく鍛えて関節を守る」というサイクルを作ることが、変形性股関節症への進行を食い止める唯一の道です。
最後に:10年後も自分の足で歩くために
「股関節が痛い」と感じたら、それは身体からのSOSです。 我慢すればするほど、変形は静かに進行してしまいます。
まだ変形が進んでいない段階であれば、適切な治療とリハビリで、手術を回避して元気に過ごされている患者様がたくさんいらっしゃいます。
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痛みの原因をはっきりさせたい方
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専門医に診てもらうべきか迷っている方
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手術はしたくないから、今できるケアをしたい方
まずは一度、しんもり整骨院・はり治療院まで足をお運びください。国家資格を持つスタッフが、あなたの股関節を全力でサポートします。