谷田貝です。
来院時の症状
患者さんは来院2日前から肘の痛みを自覚。特にきっかけはなく、症状は強く、**「水が触れるだけでも激しい痛みが走る」**ほどでした。
身体所見のチェックでは、
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上腕と肘後面に触覚異常あり
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上腕や前腕の筋力低下はなし
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頚部や肩の可動域制限・誘発痛もなし
しかし触診を進めると、頚部・上背部・肩部の筋肉に強いハリが確認されました。
施術の経過
1回目の施術
原因と考えられる筋肉の緊張を徒手でほぐしました。施術直後は改善しましたが、効果は一時的で症状はすぐに戻りました。
2回目の施術
触覚異常の分布からC7神経根領域と推察。
エコーガイド下でC7神経根周囲に鍼治療を行ったところ、翌日には痛みが完全に消失。その後も再発はありませんでした。
まとめ|神経由来の肘の痛みと鍼治療
今回のケースは、急性(発症から1〜2週以内)の神経由来と思われる皮膚感覚異常でした。そのため、1回のエコーガイド下鍼治療で速やかに症状を改善することができました。
一方で、発症からの期間が長くなると神経症状は改善しにくくなる傾向があります。理由は、長期的な圧迫で神経そのものが障害を受ける可能性があるからです。
末梢神経には再生能力があるものの、その速度は1日あたり0.5〜1mm程度と非常にゆっくりです。したがって、早期のアプローチが症状改善の鍵となります。