谷田貝です。
今回は首の後ろの筋肉「頸半棘筋」にアプローチした症例を紹介します。
症状
主訴:首を後ろや横に動かした際の首の付け根から首筋にかけての痛み
3年ほど前から首筋がきっかけなく痛み出すようになった。元々肩こりは自覚しており、疲労が溜まると毎日頭痛も出る。
近所の整形外科で画像検査を行ったが特異的な所見はなしとの診断。
今まで、電気・鍼・灸などの治療方法を試したが首の痛みが取れることはなかった。
理学所見
頚部後方から肩上部にかけての筋緊張著明
頚部後屈・側屈・回旋動作での可動域制限あり
ジャクソンテストにて頚部痛あり。上肢放散痛はなし。
神経学的所見、エコーでの炎症所見はなし
鍼治療
1回目
大後頭直筋や小後頭直筋などの頚部の深部筋と肩甲挙筋や僧帽筋をターゲットに施術。


2回目(1回目から1週後)
肩のコリ感は軽減したが頚部の動作痛は大きな変化なし。
頚部後方の筋緊張が残存していたため、エコー下で頚半棘筋へ刺鍼し鍼パルスを施行。

3回目(2回目から1週後)
3年間取れなかった後屈痛・側屈痛・回旋痛が8割消失し、可動域制限も寛解。
ずっと出ていた頭痛もこの1週間は1回もなし。
注意
今回のケースでは病院で検査の上、異常がないことがわかった上での施術となります。慢性的な頚の痛みの中には椎間板ヘルニアなどの危険度が高い病態も含まれるため、まず整形外科などでの検査をしていただくことをお勧めします。
まとめ
「頚半棘筋」は頚部後方の筋肉の中でも椎骨に近い深部の筋肉になり、頚椎の後屈・対側回旋・脊柱の安定などに関わります。
支配神経は「脊髄神経後枝内側枝」となり、これは頚椎の椎間関節を支配している神経でもあるため、椎間関節性の頚部痛などとも関連があると考えられます。
またこの筋肉を第三後頭神経(TON)が貫いているため、頭痛との関連もあると思われます。