鈴木です
首の痛みや肩こり、腕の上げにくさ。その原因は、もしかしたら「副神経」にあるかもしれません。この記事では、あまり知られていない副神経の解剖学的な特徴から、絞扼(こうやく)によって引き起こされる症状、そして超音波エコーを用いた治療アプローチを紹介します
1. 副神経の解剖学的特徴
副神経は、脳から直接出る12対の脳神経のうちの1つ(第XI脳神経)で、少し特殊な走行をしています。
- 起始と走行: 副神経は、頭蓋内の「延髄」と、首の骨である「頸髄」の2つの部分から起こります。その後、合流して頭蓋骨の穴(頚静脈孔)を通り、首の後ろ側に出てきます。
- 支配筋: 副神経は主に2つの重要な筋肉を支配しています。
- 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん) SCM: 首を曲げたり、回したりする筋肉です。
- 僧帽筋(そうぼうきん)Trapezius: 肩をすくめたり、肩甲骨を動かしたりする大きな筋肉です。
2. 副神経が絞扼されるとどうなる?- 主な症状
副神経が筋肉やその他の組織によって圧迫される(絞扼される)と、様々な症状が現れます。
- 肩や首の慢性的な痛み・こり: 持続的な痛みや重だるさが特徴です。
- 方の筋力低下: 肩をすくめる動作が困難になります。
- 肩甲骨の翼状化(よくじょうか): 肩甲骨が背中から浮き出て見える状態です。
- 脱力感: 僧帽筋の力が入りにくくなり、重いものを持つのが辛くなります。
これらの症状は、一般的な肩こりと間違われやすいため注意が必要です。
実際に患者様でも肩こりを訴えて来院されたのですが、副神経の施術をして改善した方が多数いらっしゃいます。
3. エコーで見る!副神経の治療ポイント
いくつか絞扼ポイントがありますが、
超音波エコーを使用してアプローチするポイントを1つ紹介します。
治療のポイント:胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間
副神経は、胸鎖乳突筋を貫通、あるいは胸骨頭と鎖骨頭の間の筋膜を通過する際に圧迫されやすい、最初のポイントです。
頸部外側から短軸でエコープローブを当て頭側に移動すると胸鎖乳突筋(SCM)が出現
表層の胸骨頭(SCM Sternal)、その深層にある鎖骨頭(SCM Clavicle)の間に副神経(Accesory Nerve)が後方(posterior)より入ってきます。
プローブを頭側に操作すると、副神経はエコー画面上では右から左に走行していくのが確認できます。
まとめ
副神経の絞扼は、長引く首や肩の不調の隠れた原因となっている可能性があります。特に胸鎖乳突筋部での圧迫は見逃されやすいポイントです。超音波エコーガイド下のような精密な治療が症状改善の鍵となります。
なかなか改善しない症状でお困りの際にはぜひ一度お問い合わせください